2021年3月3日(第16回)

怖い話は苦手だ。もちろん怖いからである。ただ興味はあるので、怖い話がTwitterで流れてくるとつい見てしまう。そして毎回眠れなくなる。
幸いなことに、自分自身が怖い体験をしたことはない。ただ、少し不思議なできごとなら一度だけある。
それは私が小学生の時だった。当時暮らしていた(今も暮らしている)実家には、台所と風呂の脱衣所を隔てる木製の引き戸がある。開けっぱなしだと台所およびその向こうにある居間からいろいろ丸見えになるので、入浴するときはその引き戸を閉めるのが習慣となっていた。その日も私は引き戸を閉め、とくに何事もなく入浴を済ませた。居間に戻ると、何やら妙な表情の母が、話があるという。それはこんな話だった。
私が入浴しているあいだ母は居間にいたのだが、閉まっている引き戸が突然音を立てて鳴り出したのだという。母曰く『誰かが向こう側から押しているような音』だったそうだ。季節は冬で、風が吹き込むような隙間はない。そもそも家のどの窓からもその引き戸は遠いため、窓を開けていても引き戸が鳴ったことは一度もなかった。家にいるのは母と私だけだから、本当に誰かが押しているということもあり得ない。引き戸から一番近い場所にいるはずの私も、音に気づいている様子はない。母は不気味に思いながらも勇敢に引き戸を勢いよく開けた。向こうには誰もいなかった。母は再度引き戸を閉め、それ以降音は鳴らなかったという。
こうして文章に起こしてみるとまったく怖くないし、いっそ不思議でさえない気がしてくる。私自身もその音を聴いた記憶はないため、体験したという感じもしない。ただ、昔そういうことがあったというだけの話である。
絵の練習について。各パーツのあたりの練習と、全体のざっくりとしたあたりの練習は、どちらを先にやったものかと悩んでいる。まず全体を描けるようになってから細部を詰めていったほうがいいのだろうか。

絵の本には、6.5頭身がバランスが良い人体だとあったが、いざドローイングが始まるとそういったことにまったく気を配れなくなる。現時点でマス目もあまり活用できていないので、然もありなんといった感じではあるが。そろそろある程度の時間をかけて丁寧な模写もやったほうがいいのかもしれない。自分の体力や気力と相談しつつ内容を増やしていけたらいいと考えている。